小学校のプログラミング必修化について、再考してみました
2日前にこんな記事を書いたわけですが、Twitterで指摘を受けて、文部科学省の以下の資料を読みました。
小学校段階におけるプログラミング教育の在り方について(議論の取りまとめ):文部科学省
小学校でのプログラミング必修化に関しての有識者会議の議論を取りまとめたものです。
この資料の冒頭で、プログラミング教育の目的についてこのように述べられています。
プログラミング教育とは、子供たちに、コンピュータに意図した処理を行うよう指示することができるということを体験させながら、将来どのような職業に就くとしても、時代を超えて普遍的に求められる力としての「プログラミング的思考」などを育むことであり、コーディングを覚えることが目的ではない。
なるほど、論理的思考力や問題解決能力を養うという点では、プログラミング教育の意義は大いにあると、僕も考えていました。
さらに、このようにも述べられています。
また、こうしたプログラミング教育を実施する前提として、言語能力の育成や各教科等における思考力の育成など、全ての教育の基盤として長年重視されてきている資質・能力の重要性もますます高まるものであると考えられる。こうした資質・能力の育成もしっかりと図っていくこと、また、小学校におけるプログラミング教育の実施に当たっては、ICT環境の整備や指導体制の確保等の条件整備が不可欠であること等についても下記2.や5.において提言している。
他の教科もないがしろにするわけではなく、プログラミング教育の前提としてむしろより重視するべきであると読めます。
すなわち、プログラミング教育は「将来不足するであろうICT技術者を促成するため」に行われるわけではないと。少なくとも文科省の方針はそのような方向に向いているわけではないということですね。
情報化が進むこれからの社会では、ICTを正しく扱う術を学ばなければなりません。そのためのプログラミング教育ということであれば、単なるコーディングの基礎を学ぶだけのものに留まるのでなければ、必修化にも異論はありません。
もうひとつ、2日前の僕の記事で書いた危惧、教える側の人材やスキルの不足と、学校で学ぶ教科の一つになることで成績評価の対象になることで、かえってプログラミングやICT技術全般に対して苦手意識を持つ子供が増えないだろうかという点について。
これらの点に関しては、少なくとも僕と同じ問題意識を、この有識者会議に参加した人も持っていることはわかりました。具体的な解決策が描かれていないので不安はありますが、そこはこれからの議論になるのかなと思います。
とりあえず、「将来ICT技術者が不足するから手っ取り早く小学校からプログラミング教えればエンジニア量産で安泰万々歳」とかいう安易な考え方でプログラミング必修化などという話が出てきたわけではないと。文科省はさすがにそこまでお花畑な考えは持っていないということで、少しは安心しました。