何でも金沢と付ければいいというものでもないと思う。

昨晩は、この4月に新しくうちの部署に来た上司の歓迎会で、金沢の繁華街片町にある老舗のおでん屋に行ってきた。コース料理だったので、好きなおでんだねをちまちま頼むというおでん屋ならではの楽しみ方は出来なかったものの、変わらない老舗の味を堪能してきた。

ところで、近頃は「金沢おでん」などという言葉があるらしい。まあ確かに金沢には老舗のおでん屋の名店が多いのは確かだ。おでんの消費量も他の地域に比べて多いかも知れない。が、静岡おでんのような明らかに他と違う特徴が金沢のおでんにあるかというと、特に見当たらないように思う。おでんの出汁は、店ごとに違うが関西風の澄んだものが多い印象。具材は、冬にだけ食べられる、香箱蟹(メスのズワイガニを金沢ではこう呼んで美味しく頂く)の甲羅に蟹の肉や蟹味噌を詰めた贅沢な「カニ面」というおでんだねはいかにも金沢らしいものだが、それ以外は車麩(文字通り輪になった麸)や梅貝など、正直あまりインパクトがある具はない。ちなみにこのあたりの具はこちらのブログで紹介されているのが参考になるかも。

とは言え、そうした金沢独特のおでんだねも含めて、基本的に野菜も海の幸も豊富で美味しいので、おでんも間違いなく美味いのは確か。そして、これも大事なのだが、金沢は日本酒が美味い。ビールやハイボールも悪くないけれど、おでんにはやはり日本酒でしょう。

ご当地グルメをアピールして観光につなげようというのは分からなくはないが、わざわざ「金沢おでん」などと銘打たなくても、金沢のおでんが美味いことは、一度金沢のおでん屋を訪れた人ならみんな、舌に記憶が焼き付いているはず。言葉に頼るよりも味でうならせて欲しいな…とか言ってると、今の時代にはついていけないのかも知らんけど。